どちらの商品画像が売れると思いますか? (その1) – ABテスタ for 楽天市場│楽天市場で唯一 商品画像A/Bテストツール

どちらの商品画像が売れると思いますか? (その1)

2015.02.25

どちらの商品が売れると思いますか?(その1)

楽天市場で店舗運営するにあたって
「商品画像どうしよう…?商品画像にどんな情報を入れたら売れるんだろう…?」

と、お悩みの担当者の方は多いのではないでしょうか?そう、来店するか否かの決め手となるのは商品画像、お客様が一番最初に目にする店舗の玄関口!まずはこの扉を開いて中に入ってもらわないとどんなにいい商品でも売れません!
ますますどんなものがよいか悩ましくなってきました。

この記事では、そんな商品画像制作のポイントについて解説していきます。

A(左)とB(右)売れる商品画像は?

商品画像A
商品画像B

楽天市場にご出店の店舗(輸入雑貨の直販 エクリティ)様にご協力いただき、実際の商品でお買物客にA/Bテストをしてもらいました。ここで公開しているのは、リアルな結果です。
あなたがこの記事をご覧になられて商品ページをお訪ねになった時、商品画像はさらに進化しているかもしれません。最適な訴求は、競合や社会状況などによっても変化するものですし、たった一度のテストの結果が未来永劫「最高の結果」などでは決してありません。

実際により多く売れたのは右のBでした。

+77%の売上向上ポテンシャルを証明しました。つまり、テスト期間中、Aが100個売れたとしたら、Bで177個売れたということです。もちろん、商品力があるから売れるわけですし、様々な施策を実行しているのですが、商品画像1枚を変えるだけで、売上が177%にもなるという重大さを理解するには十二分な成功事例です。

商品名を過信していませんか?

商品名

ショップのスタッフの方々とお話をしていて、案外、誤解されているものだなと思うのは、次のような台詞です。

「楽天市場には店舗が多く埋もれてしまうので、見つけてもらわなければ始まらない。商品を見つけるのは商品名であって、商品画像で探すわけじゃない(から商品画像の重要度は二の次でいいんですよ)」

稀有な意見ではありません。こういった方々は、検索の話をしています。もっともです。楽天市場では、画像で検索できるわけではないので、商品名が重要なことは明らかです。日頃から、特定の(例えば「エコバッグ」といった)検索ワードに対して、検索結果順位の浮沈に一喜一憂しています。
しかし、仮に1位になったからといって、必ず商品詳細ページに来てくれる(クリックしてくれる)わけではありません。なにしろ、その上に「サーチワード広告」が表示されてしまいます。上から順にクリックなら絶対に勝てません。デフォルトで45件表示されます。3回スクロールすると約20件。これらの中で買物客の目に止まらなければ来店はしてくれません。

楽天市場における商品画像とは

楽天市場はモールであって、本店(独自ドメイン)と大きく異なり、楽天内検索ではまだ来店してくれてはいません。つまり、来店まで更に二つのステップが残されているということです。

  1. 検索結果に表示される
  2. 検索結果の中から選ばれる(クリックされる)

前述のスタッフのご意見は、残念ながら片手落ちです。揚げ足を取らせていただけば、以下のように言い換えることができます。

「楽天市場には店舗が多く埋もれてしまうので、見つけてもらわなければ始まらない。商品を見つけるのは商品名と商品画像ですが、来店するか否かの決め手となるのは商品画像です。」

検索以外の流入として、ランキング市場や商品比較のサムネイル。スマホ(Web)やスマホアプリの商品詳細ページにおけるファーストビュー。カゴ落ち率を低減させるカゴ画像。巨大モールだからこそ、ますます重要性の増す接点で、常に商品画像が現れてきます。

デザイナーの憂鬱

デザイナーの憂鬱

実は、今回のA/Bテスト、ショップのデザイナーさんと弊社スタッフのコラボレーションでした。Aはこれまで用いられてきたオリジナルで、渾身の力作です。そして、Bがバリエーションで、弊社スタッフも加わって新たに制作したものです。新旧コンペ形式になりました。

こういった座組みには、とても大きな意味があります。A/Bテストを実行するにしても、同じ人がオリジナルとバリエーションを制作すると、どうしてもコンサバティブなテスト、即ち同じテイストで大きく変わらないクリエイティブを比較しがちになります。

気持ちはよく分かります。脳内に思い描いた形を、持てる力を発揮して表現したクリエイティブです。アルバイトの落書きみたいに未熟な制作物に敗れでもしたら、プレゼンスが大きく揺らぎます。自分が作った複数成果物でも、「一押し」が「当て」に敗れたら、本人が自分のセンスを信じられなくなってしまいます。

しかし、トライアルを重ねてスタディしノウハウを蓄積して行くためには、チャレンジングな試行が欠かせません。そのためには、他者の力を借りて枠を破ることが有効なのです。エクリティさんでは、経営トップにフィロソフィーがあり、デザイナーに向上心がありました。改善を重ね続けるという企業文化があってこそ、効果的なA/Bテストの実が結びます。

憂鬱なんてブッ飛ばせ!

よろしければ、弊社コンサルタント佐藤英俊の筆による、翔泳社ECzine連載コラムをお読みください。励みになります。

「持続的な購入」を目指すCRO(第4回)楽天市場を含めたECサイトA/Bテストの課題と、それでも繰り返しやらねばならぬワケ外部リンク

ここで語られている「オミッション・エラー」という考え方を理解されれば、躊躇いが誰にとっても得策ではないと分かる筈です。デザイナーとしての守るべき本分も、常に感覚を磨き、高い勝率でコンペに勝てる実力を身に付けることでしょう。本来、利害は一致します。A/Bテストを繰り返せば、逆に自信が湧きます。

Bのクリエイティブに工夫はあるの?

商品画像A
商品画像B

さて、あまりにも手抜き感の漂うBです。疑われるのも当然かと。

実際に、よい結果が出たので、こうして(ショップさんの同意も得て)披露できますが、正直、テスト終了まで緊張の連続でした。それくらい、「やってみなければわからない」のが本音です。高名なコンサルタントって、「何百店舗と仕事した経験があります」とか「あの大手は私が育てました」っておっしゃいますし、もちろん嘘などではありません。それでも、店が変われば顧客も競合も変わるし、時が経てば社会状況や買物客の嗜好も変わります。過去のノウハウが必ず結実するとは限らないのです。

我々も何百回というA/Bテストを繰り返しながら獲得するに至ったノウハウがあります。今回のテストでは、それらをどう試したのか種明かしをしていきましょう。

商品が視認できること

「けっ、そんなことかよ」と思われた方も少なくないでしょうが、これが基本中の基本です。しかし、サムネイルまで想像してその通りになっている商品画像は、驚くほど少ないのです。
まず、商品そのものをメインに据えました。
注意したいのは、きれいなモデルさんに負けることのないようにしなければいけません。今回の例では、なるべく商品の全体像を大きく入れながら、モデルさんの顔は出さないギリギリの線を追求しました。新たに撮影をする訳ではなく、共有していただいた素材の中からトリミングと配置だけで工夫しました。

次に、視認性を高める工夫です。
商品の色に依りますが、白抜き、または極めて薄い淡色が目に止まりやすいようです。ここが周囲から「手抜き」と評価される最たる「おそれ」ポイントなので、ついつい着色したくなりますよね。「カバ症候群」の治療法外部リンクについても、上述コラムに示されていますので参考にしてください。
エコバッグ固有の性質としては、「使わないけどバッグに入っている」時間の長い商品です。小粋に丸めた「待機中」な姿も、お洒落ママには魅力でしょう。しかし、丸めたり畳んだりした画像では、商品の「出番」を理解できません。弊社のデザイナーも、所謂カラバリ(色柄のバリエーション)の表現として、丸めた物の画像を複数配置したクリエイティブを最初に持ってきました。それは悩んだ挙句却下しました。視認性をさらに重視して、不採用としたのです。
決してお洒落なビジュアルではありません。ブランディングを重視する上で逡巡も生まれるでしょう。けれど、目に止めてもらえなければブランディングも始まりません。ブランディングとは、チラシがするものではありません。来店していただいて、接客させていただいて、購入していただいて、使用していただいて、漸く培われるものです。そこに思い至れば、ブランディングのためにマーケティングもあり、より多くのお客様の好むものを理解する姿勢なのだと納得できるでしょう。

大吟醸の造り方

訴求したい要素はたくさんありました。しかし、スマホやサムネイルを考えると、欲張り過ぎるとかえって伝わらないというジレンマに陥ります。簡単に言うと、「たくさんの情報を載せれば、物や字が小さくなる」ということです。
そこで、我々は日本酒の「大吟醸」を造ることにしました。精米歩合50%以下。即ち、お米を磨いて、玄米の半分以上6割程度を捨てて造るお酒です。ちなみに、酒造の世界では「削る」と言わず「磨く」と言います。まさに、クリエイティブの世界ですね。磨く時間が速すぎると米が傷むし、オブジェクトが食用の半分まで小さくなるので、細心の注意を払い、精米に2日を超える場合も珍しくないそうです。まるで制作現場のよう。
私たちがどんな「磨き」をかけたのか、さすがにピクセル単位の話まではできませんが、いくつかの具体例を公開します。

バリエーションの豊富さは落とせない

エコバックバリエーション

商品の視認性を高めるが故に、カラバリのサンプル画像を配置することを断念しました。これは大きな決断でした。商品ページを見ていただくと分かるのですが、丁寧にバリエーションの一つずつに拡大画像を用意しています。この「選択の幅の広さ」こそは、この商品が持つ大きな商品力なのですから。
バリエーションの具体的な例示は、商品画像の2枚目や3枚目に委ねます。1枚目の役割としては「選択肢はある」というメッセージだけに絞り込みます。
はじめ、デザイナーが出してきた案は「全68バリエーション」と「全68色」でした。「色」というのは正確ではないので、正しく「バリエーション」推しでした。いずれも却下。

商品画像B

確かに、カラバリのサンプルがないビジュアルで「全68色」と書いたら、クレヨンのような(絵柄のない)品揃えを想起させがち。しかし、「全68バリエーション」では文字数が多過ぎて視覚に訴えられません。「柄」という単位は「おばちゃんぽい」などという意見も出ました。それでも、最後は膨らませてもらいやすいイメージを優先して「全68柄」にしました。
おや、気付きましたか。それも最後ではありませんでした、この要素だけでも、本当の最後は「全」を省いて「68柄」まで磨いたのです。同時に、フォント種や色も机上シミュレーションをしました。

「ポイント10倍」を引っ込めた打算

エコバッグが、リーズナブルな価格を求められる典型的な商品であることは説明不要ですね。であるならば、商品画像にも価格関連情報を含む訴求があって然るべきです。まず、本体価格ですが、それ自体は検索結果にもスマホのファーストビューにも、商品名・商品画像と並んで表示されるので、商品画像内では席を譲ります。特に、今回の商品はブランド品ながら税込1,080円とリーズナブルであり、潜在顧客の期待を裏切ったりはしませんので。つまり、高くてびっくりさえさせなければよく、安くてびっくりさせても購買に結びつきにくい価格帯だということです。

すると、残るは送料とポイントです。
はじめ、「送料無料」より「ポイント10倍」を強調しました。これは今日の定石です。「送料無料」が珍しくはなくなり、「10倍」とかの方が刺激的だからです。しかし、思案の末、「ポイント10倍」を割愛し、「送料無料」だけにしました。
1,000円の商品です。楽天会員なら、暗算するまでもなく10ポイントだと身体で感じます。10倍なら100円です。送料は、小さな物ですが、宅配便で500円、定型外郵便でも300円くらいは取られることを、エコバッグ利用者なら理解しています。つまり、エコバッグを求める人は「ポイント10倍」で過分に目が眩むことはなく、むしろ冷静に送料を考えます。
「ポイント10倍」を引っ込めた結果、「送料無料」のフォントサイズを大きくすることができました。

検索の意図に元気よく答える

エコバックで検索

「エコバッグ」で検索してくる人を想定して、「エコバッグ」の文字を読めるようにしました。くだらないと思われますか?
「エコバッグを探しているんですけど」という買物客に、「エコバッグですね、こちらです」と復唱してズバリ答えるというリアル接客の基本です。反して、「えっとぉ、これですか?」みたいに、お客様に判断を仰ぐ不確かさは避けたいものです。そう想像してもまだ、くだらないと思いますか。
具体的には、視認できる最小のフォントサイズを追求し、背景との境界に色を加えました。小さ過ぎても大き過ぎてもいけないのです。

一つ、重大な示唆を差し上げましょう。楽天市場のスマホアプリです。検索結果の初期値は画像の通りタイル表示に設定されていて、ご覧のように商品画像と価格しか出ていません。さあ、どうしましょ(笑)。

どんな商品画像が良いのだろう

おまけ

おまけ

品評会と鑑評会の違い

別なショップさんのユニークな事例ですが、クリエイティブの制作を含む運用代行業者を選定するに当たって、コンペを行います。それぞれのアウトプットをA/Bテストで競わせるのだそうです。こちらの結果については、機会がありましたらまたご紹介したいと思います。
商品の良し悪しを審査するのは、一般に品評会と言います。ところが、日本酒では権威ある品評会を鑑評会と呼びます。その区別については、きちんと定義があります。

鑑評会(かんぴょうかい)
酒を鑑定、評価する会ということから造られた語。審査で優劣をつけるのが主目的の品評会ともちがい、鑑評会では出品された個々の酒に対する専門家の評価を製造者に示して技術向上に役立ててもらうことを第一の目的にしている。(財務省所管の独立行政法人 酒類総合研究所http://www.nrib.go.jp/外部リンク

A/Bテストも、技術向上に役立ててもらうことを第一の目的にしている「鑑評会」でなくてはいけませんね。

米粉の話

最後に「米粉」の話をしましょう。磨いて吟醸酒としては使われない部分も、不要ではありません。「捨てる」というのは正確ではなく、米粉として姿を変えて表現されます。同様に、商品画像1枚目に採り入れられなかった要素も、どこかでは買物客に伝えるべきです。
A画像は、そのまま商品説明(PCページの上部)でお使いになっています。持ち主がポップな気分で使えるイメージを膨らませてもらうのに、より効果的だからです。ビジュアルは多い方がコンバージョンに繋がります。

商品画像を9枚まで登録できます。まだ空きがあります。商品画像としても2枚目、もしくは4枚目にお使いになることをお薦めしています。なぜなら、PCの検索結果表示形式で「詳細」から「画像」に切り替えた場合、サムネイルをマウスオーバすると商品画像1-3までが表示されるからです。
A/Bテストに勝利しなかったクリエイティブにも、活躍の場はたくさんあります。

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輸入雑貨の直販 エクリティ

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